『夜明けを待つ』

佐々涼子(著)の『夜明けを待つ』を読みました。
https://www.shueisha-int.co.jp/publish/%E5%A4%9C%E6%98%8E%E3%81%91%E3%82%92%E5%BE%85%E3%81%A4

たまたまラジオでこの著者・著者のことを知り、なんとなく本を買って読んでみたのですが、とても良い本でした。

まず文章力に驚きました。作家さんなので文が上手なのは当然なのかもしれませんが、それでもこんなに流れるようにスッと読めるのは気持ちが良いものです。流れるとはいっても、内容は重いものも多いので、読みながらいろいろと考えさせられ、読み終えた後はしばらく余韻に浸っていました。軽すぎず重すぎずの、絶妙なバランスでした。

エッセイとルポタージュからなるこの本ですが、特に印象に残ったのはとある僧侶の話でした(「会えない旅」)。幼くして愛娘をなくした男性は自棄してヤクザになったが、その後僧侶となって駆け込み寺に勤めるも、という話です。これ以上はネタバレになるので書きませんが、この人とその周りの人たちがそれぞれどのように思っていたのか、そしてその後どのような人生を送っていったのかが気になりました。佐々さんは亡くなってしまったようですが、彼女が生きていたらぜひ彼についてのルポをもう一度書いていただきたかったです。