『スイングバイ』

「スイングバイ」(糸井博明:著)を読みました。
https://books.parade.co.jp/category/genre02/978-4-434-33558-7.html

17年間もの引きこもりをした著者の自伝です。引きこもり生活で生死をさまようまでになるが、精神病院の閉鎖病棟に入り、そこから就職し大学を卒業してと、回復し社会復帰していくその様子が書かれていました。

自費出版だからか読んでいて校正の甘さは気になりましたが、巻頭にあるように「著者の言葉がありのまま」伝わってきました。文章力ではなく内容で読ませる本でした。

家庭不和で「(世の中の)人は安心できる仲間だ」ということが感じられずに人間不信になり、「自分には能力があり、人々の役に立つことができる」という能力を得る機会もなく自己嫌悪に陥ってしまったのが、引きこもりの大きな要因のようです。本来であれば幼少親に親からそういう子育てをしてもらえるのがよかったでしょうが、彼の場合は大人になってから自分の力でそれを獲得していけたのが自立へと繋がり、その努力に胸が熱くなりました。

引きこもりに限らずつらい状況に置かれた人は、本人も周りもあきらめたくなる時もあるでしょうが、「いつかはなんとなかなる」という希望を持ち続けることの大切さを教えてくれました。良い本でした。