「カルト脱出記」

カルト脱出記」(佐藤典雅:著)を読みました。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309415048/

カルトとも呼ばれるキリスト教系の宗教団体「エホバの証人」の信者だった著者が、どういう経緯で入信し、どのように信者の生活を送り、そして脱退したかという内容の本です。ためになるのと同時に、とても面白い本でした。

この本、そして私の考えもそうですが、エホバの証人を含む宗教自体を否定したり攻撃する意図はありません。社会的な意義は認めるし、本人が望んでいればそれはそれでよいとしています。信者が洗脳された状態というのはどのようなものかということを啓発する内容です。

この本は単純に面白かったです。面白くてずっと読み続けていました。名指しされたエホバの証人にとっては嬉しくないでしょうが、きっとこういう本に対しても「サタンの仕業だ」と曲解しようとするカルトの考え方を知ることができました。

そして、洗脳についてはとてもためになりました。どうしたら洗脳されてしまうのか。洗脳されている状態とはどうなのか。どうしたら洗脳が解けるのか、など。著者の実体験が元になって書かれているので説得力があります。

洗脳されている本人は、自分が洗脳されているとは思っていないのだそうです。自分達だけが正しく、世の人はみなサタンに惑わされていて、エホバを信じている自分たちは安心と疑わないのだそうです。そんな傍からすればおかしいと思える事でも、いったん洗脳され全てのことを正当化してしまう図式の中に入ってしまうと、おかしいとは思えなくなってしまい、たとえまわりがいくら誤りを指摘しても、逆に自分の正当性を信じてしまい、その悪循環から抜け出せないのだそうです。洗脳、こわいですね。

洗脳は宗教だけではなく、他の事にも当てはまります。職場や社会などでも起こり得るでしょう。そう考えると他人事ではありません。

世の中には多くの「なぜ?」がありますが、中には簡単には見つからない答えもあります。大変だとしてもそれを自分で考えることが大切でしょう。宗教にその答えがあることもあるでしょうが、自分で考えることを放棄して、盲目的に信じて依存してしまうことを私は正しいとは思えません。

面白い本なので、ぜひみなさんにも読んでもらいたいと思いました。