「ストーカーとの七〇〇日戦争」

「ストーカーとの七〇〇日戦争」(内澤旬子:著) を読みました。
ネットの出会い系で知り合った男性からストーカー被害を受けた著者自身のドキュメントです。

タイトルに「戦争」とありますが、まさしく勝つか負けるかの戦いのようでした。私自身はストーカー被害に遭ったことはないのですが、もし万が一ストーカー被害に遭い、この本と同じようなことが起こるとしたら、本当に辛いことだと思います。本を読むことで擬似体験ができましたし、擬似体験だけで済ませたいものです。ストーカー被害に遭ってしまったら大変なので、遭わないようにする予防が大切で、そのためには心理学というか、人との接し方を学ぶことが大切だと思いました。ストーカー気質があるかもという人とは、予備軍のうちに離れておきたいですしね。

(ネタばれになるかもですが)
著者は、ストーカー加害者に対して(精神疾患の)治療を受ける事を勧めています。私も、他の依存症などと同じくストーカー行為も処罰だけでなく治療で解決すべき事だと思いますが、この本に書かれているように、それには加害者本人の治したいと思う気持ちが必要で、本人にその気がないの単に治療を受けても効果が出ないでしょう。その気持を持たせるのが大変で、それには加害者のまわりの正しい人間関係が必要でしょう。そこから正していかないと、こういう被害はなくならないと思います。大きなことを言えば、希薄で不健康な人間関係がストーカーを作り出しているのであって、それを皆が改善していくことが未来の加害者と被害者を減らしていける気がします。

著者の加害者に対する恐怖と憤懣の気持ちがあまりに大きいからか、その描写がとても多くて(多すぎて)後半はちょっと冗長気味です。もしかしたらページを半分くらいにしても内容は十分に伝わってくるのではと思うほどですが、読みやすい本ですので、「自分にストーカーなんて関係ない」と思う人にも読んでもらえたらと思います。