「心はどこへ消えた?」

心はどこへ消えた?」 (東畑開人:著)を読みました。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914305

臨床心理士であり大学で心理学を教えている著者が、心の問題について書いたエッセイです。元は週刊誌に連載されていたコラムなので一つの話題が短くまとめられているのと、マジメな内容なのに不真面目なほど面白おかしい表現を混ぜているので、楽しく気軽に読むことができました。

私が印象に残ったトピックを一つ紹介します。

著者が中学受験をした時の話。中学受験とは、親が夢見て、親が計画を立て、親が指揮して、子が勉強する。親が将校で子は兵卒なのが中学受験だそうだ。しかし、著者は親の言う通りに勉強せずに、受験に失敗してしまう。その話を大人になってから大学教授に話したら、「素晴らしい。もし親の言うとおりに勉強をしていたら、お前の人生は親のものになっていた」と。


もちろん親は子のことを思って考えたり指示したりするわけですが、果たして操り人形のようにすることが本当に子にとってよいことなのか。そして子にとっては、操り人形のように操られるのが良いことなのか。

これは親子に限らず、どの人間関係でも起こりうることだと思います。
考えさせられました。